武田/予定地はほぼ土石流危険地域と重なっていますので、大雨とかがあった場合には土石流とかが起こる危険は高いです。ただ、再エネだということで特別に許可されているということです。
小川/許可されても危ないのは変わらない?
武田/もちろんそうです。しっかりした防災対策をたてないと土石流の危険はあります。
小川/しっかりした防災対策ってどういうものですか?
武田/シーテックはこちらにあるウインドファーム笠取などでいろんな防災対策をしていますけれども、土砂崩れを止められていませんので、それ以上のかなりしっかりした対策が必要ですけれども、それはどんな対策かまではわからないです。
小川/それって今まで説明されていますか。
武田/まったくないです。従来の工法が単に説明されています。
小川/ということは、従来の工法でする予定、ってことですよね。
武田/従来の工法で失敗しているのですけれど、その教訓を学んでいないんですね。
小川/では土砂崩れになる可能性がものすごく高いということですよね。
崩れがいっぱいで、今も市が何回も勧告しているけど、直していない、って先生いわれていましたけど、それと同じことが起こる?
武田/ほぼ同じ地質ですから起こる可能性は非常に高いと思います。
小川/今、先ほどの説明で「どんどん撤退して行っている」と言っていたでしょう。
時流としては、もう衰退していっている風力発電で、国も補助金をストップしているというような状況で、最後の駆け込みだとしたら、それがずっとその会社が繁栄し続けて、儲かり続けて…ということがちょっと考えにくいのですけれど。
武田/合同会社ですから、制度上は、シーテックはいつでも撤退できるという制度になっています。
小川/合同会社ってどういうことですか。
武田/シーテックが子会社を作って、社員という名前の出資者を集めて作る会社です。
ただ、合同会社の出資者にとっていい点は、何かあった場合は出資金の範囲の責任だけを負って撤退できるということです。ですから撤退したあと、土地はすべて地主に返されることになります。
小川/それは、そのお金だけ払って逃げることができるということ?
武田/そういうことですね。
小川/合同会社もろとも?
武田/合同会社はなくなりますから。
この前の説明会では「シーテックが撤退した場合には、合同会社に残った銀行があらたな支援者を探す」という話でしたが、そのような事態になった場合に新たな業者を見つけられるかどうか非常に疑問ですね。
小川/だって、さんざんな状態になっているところを誰がひきうけるかっていう話ですよね。
ということは、土地を持っている地主が馬鹿を見るということ?
武田/最終的に、ちゃんと修復された土地を返されれば別ですけれど、(風車が)立ったままの土地、あるいは十分に修復されない土地を返された場合には、地主の責任は非常に大きくなりますね。いつ土石流が起こるかわからない。
小川/今、土石流が崩れてきたとしたら、土砂災害がおこってなだれ込んでくるのはどのあたりですか。
武田/まずこの谷の出口にある子延、その先にある木津川の合流点付近にある集落が危ないと思います。
小川/どこになりますか。
武田/富永ですね。
小川/上阿波もありますか。
武田/上阿波っていうのはこの一帯の地域の総称です。もし土石流とかが起こった場合に、普通の山林であれば、災害復旧事業、治山事業などの公共事業や補助事業がいろいろ使える。ただ人工物を建ててしまった場合、そういう制度は使えず、全てその地主の責任で修復しなくてはならないです。
小川/もし土砂災害で、人命にかかわることが起こった場合には誰の責任になる?
武田/それは、災害を起こした原因を作った者の責任になるでしょうね。(シーテックが)撤退した後で起こったら、やっぱり地主の責任になるかと思いますね。
小川/すごく大変なことですね。すごいリスクをおっているということをわかってはるのだろうか。そこまでもちろん説明していないかと思う。
武田/まずされていないでしょうね。先のことまではいわないでしょうね。永久に続く事業ではないのですが、そこまでの説明はたぶんしていないでしょうね。
小川/修復されていたらといわれましたが、今の、会社がつぶれてはいない、次のやつを立てようかという余裕のある状態であっても、今までのところの災害の土砂崩れを治していないのですよね。
武田/そうですね。ウインドパーク笠取、美里、新青山、青山風力発電所、土砂崩れはひどいですけれど修復はさっぱりされていないですね。
この前の説明会では、「土嚢を積んだままであと何年も置いておく」というような説明でしたから、果たしてちゃんと修復できるか?というのは極めて疑問ですね。
小川/今でもそんな状態だったら、倒産して、いなくなってしまうとき、返す時に、丁寧に修復して返すという可能性はすごく低いのでは?
武田/会社が危なくなったらとてもそれどころでないでしょうね。
小川/そうなったらほんとに地主さん大変でしょう。
武田/大変ですね。
小川/これって、騙されているのとちゃうかな?と思うんですけど。いいことばっかりいわれて。
武田/そう言えなくもないでしょうね。ご高齢の地主が多いようですから、エコ詐欺にかかってしまった!と将来的に嘆かなくてはならなくなる可能性もけっこうあると思いますね。
小川/そうなったら取り返しがつかないですね。山を山のまま貸して、山のまま返ってくるなら賃貸料もらって得かもしれないけど、ぜんぜん違う形になって、危険もあるのであれば、こわいですね。
武田/何せ造るのが尾根筋ですからね。しかも急傾斜地だから、開発するのは簡単でも、治すのは簡単とはいえない。
(建設工事で)発生する残土は地域外に出すということですから、直すとなると新たな土を他から持ってこないといけないですから余計大変です。
小川/危険地域っていうことを、このように示してあるということは、危険地域にこういうのを建てたら本当はだめなんじゃないですか?
武田/本当はだめです。建造物は本当はいっさい建てるべきではない危険地域です。
小川/なんで建てられる?
武田/再エネだから、特例として認められるという建前です。
小川/再エネが別に安全というわけではないですよね。
武田/安全ではないですが、推進するべきという国や県の方針だから。
小川/今も国や県はそう思っているのだろうか?
武田/もうだめでしょうね。
小川/そしたら危険なのに推進もしてないなら、許可するのをやめてほしいと言えますね。
武田/もちろんそうですね。やめるべきだと思います。せめて今まで建てたところを、ちゃんとしているなら別ですけど、ちゃんとそれができない業者だというのが明らかですから、そんな業者に新たな開発をさせるべきではないと思います。
小川/地主さんが高齢だとして、この状態のまま、誰かが継がないといけないですよね。もうここにいてないかもしれない外に出ていっている若い人たちが。山をお父さんからとか、おじいちゃんから継がなあかん、とかなった場合に結構大変。
武田/まあ責任は相続者に当然かかってきますね。
小川/そうなったらもう売れないし。
武田/被害が起きてから相続放棄しようとしても、もう遅いので、相続する人の責任がかなり大きいですよね。
小川/すごく怖いですよね。土砂崩れて、被害がおこって、でもまた崩れ続ける可能性あるわけでしょう。
武田/そうですね。かなり長いこと止まらない。
小川/それを修復することもできないし。大変ですね。
武田/自己破産すれば責任は免れますが、企業は自己破産どころか、合同会社の場合は出資金の責任だけですみますから。修復しなくて済む。
小川/これって個人の土地だけなんですかね。区や市とかもある?
武田/共有林がいくつかあるようですけど、そうなるとやっぱり区民の全体の責任になってしまいますよね。
小川/それをちゃんと知っておかないと危ないですね。
武田/危ないですね。
宮崎/伊賀市の場合は、土地の返還後に、なにか災害があった時、その要因が工事に起因するものかどうかというのは、地質学の専門家に相談するとか、あるいは弁護士、顧問弁護士に相談するとか、ということは議会でも言っていましたが、個人の場合はそういう人がいないので心配というか不安しかないなと思います。
武田/だから基本的に借地契約が終わったら借りた人の責任はないわけですよ。それでも責任を追及するとすれば、それこそ地質学者や弁護士の力が必要になりますよね。ご自身でそれをするのはちょっと無理かと思いますね。
小川/あの会社相手に、地主さんがやりあえるとも思えない…
武田/思えないですね。
小川/逃げてしまおうとしている、都合悪くなったら逃げればいいわ、というのが合同会社でしょう。
武田/まさしくそうです。ある経済学者(教授)さんは「(特別目的会社)合同会社を作った時点で、悪だくみをしようとしていると自供しているようなものですね」というコメントを寄せくれました。
小川/この前、説明会で質問した時に、その合同会社を作って、あとちゃんとするという計画のもとこの事業は始まっていますって言っておられたから、それは悪だくみのもとにスタートしていますっていうことですか。
武田/そうですね、だから資金調達として、風力発電とかメガソーラーは担保価値がないと銀行にみなされていますので、プロジェクトファイナンスとかで、合同会社でもたてて、資金を集めるしか資金調達の方法がないというのも一つあると思います。シーテックは今までは直営でやっていたのですけど、ここにきていよいよ合同会社方式に変えたようですね。
小川/いよいよやばいということですか。
武田/なんかあったら撤退できるし、資金を集めやすい。(親会社の中部電力が)地域独占がなくなったから、資金の余裕がだんだんなくなってきたのかもしれないですね。
小川/(このような状況で土地を貸すのは)だいぶリスクが大きいということですね。
武田/もちろんリスクが非常に大きいです。
小川/ありがとうございました。