2024.04.27 Saturday

武田先生による「風力発電の勉強会」の要約

勉強会の内容を各項目ごとに要約したものを掲載しています

読んでいただいて分かりやすいように、勉強会で話された順番とは変えてあります。

 

 

(15) 風力発電事業で気をつけるポイントは? 23:45~

 

・風力発電事業は公共事業ではなく、民間事業なので地域振興策や地域貢献の義務はなく、企業利潤追求の為に行われる事業です。

・今回、阿波に計画されている風車は2,300kw基で、これほどの大きさのものは世界的にもまだ数少ない巨大風車です。それが28基建てられるのです。何が起こるかわかりません。まだデータがないのです。

・風車の寿命は20年で、その後、撤去になりますが、土台の巨大鉄筋コンクリートは残されることが多いです(シーテックは「除去する」と言っていますが‥果たしてどうでしょうか?)。

 

・経産省の認可とは?

  計画した発電施設が規格の範囲内のものであるということを書類で確認するだけのもので、地元の同意や、自然環境への影響、他の事業者との重複などは全く関係なく認可されます。その規格も最低限のもので、かなり緩いものです。ほぼ同じ場所に、シーテック、グリーンパワーインベストメント、レノバ(今は撤退)が計画していましたが、いずれも認可されています。

 

・環境省の許可とは?

環境アセスメントの手続きを終えた、あるいは、「環境アセスメントを開始する書類を出し、受理された」ということに過ぎません。環境省が業者に何をしても良い権限を与えた訳では全くありません。

 

・県や審査会で認められたとは?

  シーテックのよく言う「審査会の偉い先生方に認められたのです」「厳しい審査を受けます」も同じで、環境アセスメントの手続き中に形式的と言って良い審査会(委員会)を経た、ということに過ぎないのです。「認められた」などとはとても言えないでしょう。かなり大きな問題点の指摘も、「事後調査します」「何かあれば適切に対処します」で済ませていることが通例です。

 

(17) 特別目的会社(合同会社)のカラクリ 29:05~

・メリットは事業者と投資家に有利なことです。風力発電や太陽光発電の施設は20年で終了するので担保価値がないとされているのですが、合同会社にすると、融資や債権を集めやすくなり、設立と解散が容易になります。倒産や何かあった場合、構成員の会社(社員と言います)は出資金の額の責任のみで済み、以後の責任は負わなくて済みます。

・デメリットは、地主や地元には圧倒的に不利です。倒産したり事故があった時、簡単に事業者が撤退出来るので、後始末は全て地主の責任になります。シーテックは「撤去費用は確保している」と言っていますが経産省にも非公開で、撤去費用の供託を提案しましたが「即答はできない」と言っていました。特別目的会社だと、シーテックは撤去などの最終責任は法的には負わなくて済むのです。

 

(11) 土砂崩れの現場 20:00~

・ウインドパーク笠取の建設時には土砂崩れや濁水流出が多発し、高良城の浄水場が何度も取水停止をしなくてはならなくなりました。これについての市や地元からの要請に対して当時のシーテックの所長は「私共は規格通りの工事をしただけですので問題はございません」「悪いのは規格でございます」と言いました。

 

・規格とは?

林道の規格というのは最低限のもので、「その通りにしたら土砂崩れは起きない」と保証するものではなく「規格通りの工事をしたら土砂崩れを起こしても免責される」というものでもありません。どうもそれが理解できないようです。すべて施工者の自己責任です。

 

・復旧の実情

とくかく土砂崩れが多すぎるのですが、シーテックの課長は「どこでしょうか?私は行ったことがないので」と何度でも繰り返し、部長は「県、市と地元と良く協議し、シーテックも無限に資金がないので、土嚢での仮復旧で後何年も置いておくことになった」「林道を復旧せずに橋を新設したが、市や地元と公には言えないような話もした結果です」などと言っています。とても直しきれないと考えていることが懸念されます。これらをちゃんと直してから、新規事業をするべきものだと思います。

 

・土砂崩れの補助事業は使えるか?

ただの山林なら、土砂崩れがあった場合、災害復旧事業、治山事業などの公共事業や各種の補助事業が使えます。しかし、人工的に造成した場合はそれらは一切使えず、自己責任になります。事業終了後復旧が不十分なまま返されたら、地主の自己責任になります。小さい内にちゃんと復旧させておかないと、地主と地元住民は将来たいへんな負担を強いられることになりかねないのです。知らずに相続してしまった人は、自己破産しないと責任を免れなくなってしまうこともあり得ます。

 

(健康被害って本当にあるの? 26:35~

 

・実例

これについては被害者の証言を聞くのが最も早いでしょう。和歌山県由良町の故谷口愛子さんの証言です。1,990kw機から1.3kmにご自宅がありました。「つらい時は夜中に車に乗って、数キロ離れたコンビニの駐車場まで行って寝る」「按摩さんは「ここに来ると何か恐ろしいような異様な感覚がある」と言っていた(視聴覚障害者、老人は重低音、低周波音に敏感になるようです)」「谷口さんのご自宅の周辺約3kmの近所の皆さんは「このつらさはな、なんぼ言うても、経験せんとわかってもらえへんのや。あんた、よそで話して、被害を出さんようにするんやなしに、被害を受ける人が増えるように黙っとき」と言われたそうです。

オーストラリアのウォータールーでは、1,500kw37基の風車から約3kmの人達が自宅を離れ、ゴーストタウンになっています。「高速道路の高架下の小屋の方が良く寝られる」「20km離れた廃屋なら寝られる」「鶏が黄身のない卵を産みだした」「賛成だった人も、借地料、年数十万円の人も、2.5km離れても被害に遭っている」など、ほとんどの住民が賛成で建設に協力したのにこうなってしまいました。

 

・共通する症状

世界中で風力発電機から同じような距離の人達がほぼ同じ症状を訴えています。デンマーク、ドイツなどヨーロッパを中心に27ヵ国、風力発電がある国ほぼ全てでです。

共通する主な症状は、睡眠障害、睡眠遮断、頭痛、耳鳴り、耳閉感、動揺性めまい、回転性めまい、吐き気、かすみ目、頻拍、イライラ、集中力・記憶力の異常、ストレス、吐き気、種々の胃障害、耳鳴り、高血圧症、心臓血管の病気、そして覚醒時もしくは睡眠時に生じる身体内部の振動感覚、もしくは動揺感覚に伴うパニック発作などです。

Vibroacoustic diseases振動音響病,Chronic sound trauma慢性騒音外傷, Wind Turbine Syndrome風力発電機症候群などの病名がつけられています。原因として騒音と共に、低周波音、超低周波音に注目され、内耳はじめ色々な内臓機関が共鳴、振動して、平衡感覚受容器のバランスを乱して様々な症状を起こすことがわかっています。

低周波音は確かに聞こえない音ですが、人体への影響として、動脈と心膜を肥大させる→梗塞。てんかん(後天性)。神経機能に異常→睡眠障害、異常行動、落ち着きがなくなる、学習能力が落ちる。肺胞を肥大させる。内耳の絨毛を癒着させる→聴覚過敏、難聴。動物の死亡、奇形、死産、不眠、暴れる(牛、ミンク、ラット、鶏など)などがわかっています。

注目すべき証言として、「寝室で寝るとつらいが、広間だとまし」「ましな部屋とつらい部屋がある。」「私がつらい時は、金魚が斜めになっている。」などがあります。どうも6畳間は共鳴振動しやすいようです。

わかりやすい証言は「いつまでたっても着陸しないセスナ機、止まらない夜行列車に乗っているようだ」です。私達は普通、セスナ機や夜行列車には乗れます。それはいつか止まるとわかっていて承知の上だからです。ところが風車の騒音や低周波音は、いつ始まるか、いつ終わるかわからない上、常に変化します。それを「我慢せよ」というのは過酷過ぎる要求だと思います。

 

・被害対策は?

世界中の被害者の一致した証言は「いくら「被害が出れば保証する、きちんと対処する。」と事前に言われていても、建ってしまったらお終いだ。事業者も行政も因果関係を認めようとしない。」騒音は環境基準ギリギリか少し上、低周波音は参照値以下のことが多いから、しかし、因果関係はほぼ明らかで、被害者宅に泊まった人の多くが同じ症状になり、風車から十分に離れると治ります。

被害対策としては、夜間停止、時間停止、夜間避難、二重サッシ、エアコンの設置などの例があります。夜間避難と言うのは、アパートを用意して、寝る時間になると住民をマイクロバスでそこに送り、朝起きる時間になると自宅に送り届けるという対策です。

 

・睡眠障害は起こすが健康被害は起こさない?

シーテックはじめ多くの業者は「アノイアンス(わずらわしさ)や睡眠障害は起こすが、健康被害は確認できなかった」という環境省の一委託調査の結果を安全性の根拠にします。しかし、私達が病気で入院した時に、まずすることはよく眠ることです。よく寝ることで、ほとんどの病気はよくなります。その眠りを妨げるのは、重大な健康被害なのです。また、アノイアンスも睡眠障害も万病の元なのです。

「騒音基準、低周波音の参照値はあくまで基準や参照するもので、ガマンしなくてはならない基準ではなく、被害が出ないことを保証する基準でもない」と環境省は明言しています。ところが業者は、ガマンしなくてはならない基準であるかのように説明することが多いです。

 

・風車から1km離せば良いと環境省と経産省が定めた基準がある?

「なぜ、風車は民家から1km離せば良いとしたのか?」についてシーテックは「環境省と経産省の基準に従った」と伊賀市、津市、亀山市の説明会で言いました。環境省と経産省に問い合わせたところ、「そんな基準は作っていない。これだけ離せば被害は出ないと保証する基準はない」とのことでした。それらしい文書は「発電所建設に係る環境影響評価の手引」という経産省の手引書でした。これに1kmと言う距離が例示されてはいますが基準ではありません。ところがシーテックは何度でも「基準です。経産省と環境省に確認します」と繰り返します。はっきり言って、手引の日本語も読めないのによく計画を立てたものだと言わざるを得ません。シーテックは自社の2,000kwの風車から1.21.5kmで被害を出して2重サッシとエアコンを着けたのに、それより大きな2,300kw機を建てるのに「1kmで問題ない」としています。過去の教訓に全く学んでいないようです。

1kmで良い」としている業者は他にもいるようです。同じ間違いか、故意の間違いをしているのかも知れません。勘違い詐欺を思わせる話です。

 

・地価下落、鹿、猪激増

不動産価格は13km以内で急落する(イギリスなど)鹿、猪が激増した。猪が凶暴化した(全国)。との報告もあります。

 

  • (1) どうして再エネが推進されているの? 0:00

日本はもちろん世界的に再生可能エネルギーが推進されています。その理由は地球温暖化防止のためです。そのためには、CO2排出量を削減する必要があるため、火力発電所を減らす必要があります。そのためには、火力発電所の代わりになるCO2を排出しない発電方式(風力、太陽光、水力、地熱発電など)、CO2は排出するが、自然由来なので、±0と考えるバイオマス発電などが進められています。こうした再エネ発電は火力発電より高価なので、補助金、超低利融資、再エネ賦課金などで優遇し、最終的には火力発電並みに安く、大量に供給し、主力電源とするのを目的とされています。

その再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)は再エネ発電所から電気を高額で買って、私達消費者が均等割りで負担している特別な電気代です。明細書に再エネ賦課金と書いてあります。電気代が月1万円くらいの平均的な家庭で、月1,200円、年間14,400円です。この再エネ賦課金は電気を特に多く使う工場や事業所は免除されています。国際競争力を維持するためとの名目です。調べてみると、農協や漁協の加工場まで免除されていました。電力会社の負担は一切ありません。つまり、私達一般消費者が均等割りで賄って、再エネの費用を負担しているのです。

  • (2) 風力発電の仕組みって? 2:40

 風力発電機はとにかく巨大です。布引北に予定されているものは、高さが約120m40階建てに相当します。羽根の直径が82mです。設置するには直径約200mの平地が必要になります。尾根上に切り土、盛り土で造成する場合が多いです。そして、電気の力で羽根を強制的に風上に向けて発電し、暴風時は電気の力で自動停止します。つまり、停電すると発電も停止もできなくなります。災害時に停電すると強風による倒壊や火災の危険が生ずるので、決して近づいてはならない危険な施設になります。

  • (3) 私は風力発電に最初は賛成だった‥ 3:44

1999年青山高原に最初の風車がたった頃は、原発や火力の代わりになるかもしれな い期待の星で、私も出資や会社設立まで検討していました。そのためには十分に検討しなくてはならないので、真剣に検討を開始しました。

風力発電の一般的なイメージは、石油などの化石燃料を使わないクリーンでエコなエネルギー、大量の電力を賄うとされています。しかし、風力発電で発電した分、火力発電で使う化石燃料が削減できていなければ意味がないはずです。

そこで、1.CO2排出を削減できるか?(按分ではなく)2.原発の代わりになるか?3.自然環境に優しいか?4.人間生活に悪影響はないか?5.利益は得られるか?6.将来性はあるか?7.成功例はあるか?の観点から検討を開始しました。

その検討の過程で、色々な方々にお話をうかがったのですが、注意すべきは、私達一般市民は、風力発電は地球温暖化防止のための手段に一つと考えているのですが、風力発電業会と関連産業、関連の行政機関の皆さんは、風力発電の推進が目的で、他に選択肢はないのです。大学の寄附講座という講座があって、これは企業が人件費、光熱費、出張費、福利厚生費など丸抱えで大学に置く講座です。また、再生可能エネルギー研究所という「公平公正な研究を心がけている」というものの、日本風力開発という企業の単なる子会社の研究所もあります。

そうした風力発電業界と関係者の話は、基本的に良いことしか言わない、どんな問題があろうと「将来性があり、発展を続けている」としか言わず、問題点をお聞きしますと、「それは些細な事です」「必ずしも○○とは言えない」「それは将来の課題です」(20年も立っても?)、あるいは、触れない、「知らない」と言います。

  • (4) 風力発電で本当に原発を減らせるの? 8:25~

   風力発電の発電量が原発を越えたという報道がよくあります。20173月の時点で、日本の風力発電の設備容量は3.356MW、原発1基約1,000MWとすると、約3基分に相当するので、原発が3基要らなくなったかというとそうではないのです。

   実は電気は、発電量と消費量を約2%の誤算の範囲内で同時同量に調整しないと大停電を起こしてしまいます。私達が朝起きて、出勤して、工場や事業所が動き始めますと発電量を増やして行きます。昼休みにちょっと減らして、昼休みが終わるとまた発電量を増やして、夕方になって、工場や事業所が終わるに連れて発電量を減らして行き、深夜早朝に最も発電量を減らします。ところが、風力発電の場合は、朝みんなが起きたから風を吹かせてくれ、昼休みはちょっと緩めて、昼休みが終わったら強くして、就業時間が過ぎたら、緩めてくれるか?という訳には行きませんので、役に立たない訳です。

   ではなぜ原発の代わりになるかのように言われるのか?それは数字のトリックです。設備容量という言葉があります。それは定格出力×発電機の数のことです。この定格出力というのは、原発や火力、水力発電所の場合は、その気になれば出せる普段の出力です。ところが、風力発電機の場合はほぼ最大出力のことです。どのような場合にその最大出力、定格出力が出せるかというと、風速1225m/secの時、どんな風かというと、大枝が動く、電線がなる。傘が差しにくい、歩きにくいほどの強風です。専門家も「そんな風は滅多に吹かない」。と言っています。

   つまり、風力発電は原発の代わりに、滅多に吹かない強い風が吹いた時間帯だけなる。風が弱い時、風が吹かない時はならない。では、風が弱い時にどうするか、これは風力発電をいくら増やしても解決できない問題です。蓄電池で補うのは、高価すぎて効率も悪く無理です。地熱と中小水力なら電力の安定供給は可能です。

   ここで、電気の必要性についての誤解があります。経済界の皆さんは安定した電気を求めています。四日市火力発電所で0.04秒の電圧低下があっただけで、停電まで行かなかったのに、約30の事業所に影響が出て、約100億円の損害が出たことがありました。風力や太陽光が増えると電気が不安定になる上、電気代(再エネ賦課金)が上がるので、「どうしてくれるのだ?」と言っている訳です。それで、「風力や太陽光が増えるほど、原発の必要性は益々高まる」「風力と太陽光が増える分には原発再稼働の妨げにはならない」と言われています。九州電力管内ではメガソーラーが増えすぎたので、電灯のちらつきが問題になっています。九州電力では「ちらつきが気になるようでしたら、電気を消しておいて下さい」と言っています。

  • () 風力発電でCO2排出を減らせるのか? 13:20

風は常に変化するので、風力発電は発電量に非常に大きな変動があります。それを補うためには火力発電所が、風がやんだ時に備えて待機しています。水から蒸気は急には沸かせないので、沸かした蒸気を捨てながら待機していて、風がやんだら一気に発電機に蒸気を送り込むという操作をし、燃料までは減らせていない場合がほとんどです。

それがよくわかるのが、アメリカコロラド州のベンテックエナジーの例です。ここでは、風の強い日は主に風力発電と火力発電で、風の弱い日は主に火力発電で発電していました。すると風の強い日の方が火力発電の排気ガスの量が激増してしまったのです。これは、車の燃費が急停止、急発進を繰り返すと悪化するのと同じです。私は毎日伊賀市と名張市の間15.5kmを通勤しているのですが、いつもは燃費16km/lくらいです。深夜早朝だと24km/lまで行きます。ところが渋滞に合うと9km/lまで落ちます。同じ事を火力発電所でやってしまったのです。風が強くなったら、急いで蒸気を捨てて出力を落とし、風がやんだら、一気に出力を上げます。風が強い時もいつやむかわからないので蒸気を捨てながら待機しています。そのために、風力が稼動している日の方が燃料が必要になったのです。

つまり、CO2排出削減はできない。できる時間帯もなくはないが、全体としては、むしろCO2排出を増やすと言わざるを得ません。シーテックにも按分(机上計算)ではなく、本当に青山高原の風力発電所でどこの火力発電所の化石燃料をどれくらい減らせたのかのデータを出して欲しいと頼んだのですが、出せないようです。

  • () 電気は実は余っているって本当? 16:20

実はそもそも現在電気は不足していないのです。現在中部電力の火力発電所の約1/3が休止中です。なぜかと言うと、総括原価方式といって各電力会社は発電所の建設費は全部電気料金に上乗せして良いという制度が昨年まで続いていたからです。それで造り過ぎてしまのです。ですから、ここ何年か原発が全て止まっても火力の約1/3は休止中です。

三重県の尾鷲三田火力発電所は原発1基分の出力があるのですが今年廃止されます。理由は電力需要の減少のためです。人口減少、省エネの進歩が著しいためで、人口が減ると当然工場も商店も減ります。「今後益々電力需要は増える」と経産省や業界は言っていますが、あり得ないことです。冷蔵庫の電力消費量も10年前に較べて1/3以下になっています。また照明器具を電球や蛍光灯からLEDに換えるだけで電力消費量は1/51/17になります。人口減少は今後最低でも80年は続きます。

  • () 風力発電、メガソーラーに蓄電池を併設しないのはナゼ? 22:04~

蓄電池というのは、電気を貯めるのではなくて、電気で不安定な化学物質を作ってそれを貯めておくだけのものです。不安定な化学物質なので放電が大きく、例えば、パソコンや携帯電話の蓄電池は2週間も置いておくとほぼ空になっていると思います。非常に効率が悪いのです。現在最も大容量で効率が良いとされているNAS電池は中でナトリウムとイオウが300350℃の温度で溶けています。ですから、300350℃に溶かしておく電気が必要です。停電すると使えなくなるのです。

風力発電やメガソーラーに蓄電池を併設しない理由について、ある火力発電所の技術者に聞きました。すると「例えば、2,000kwの風力発電機に2,000kwNAS電池で13億円、風力発電機代約6億円と合わせて79億円になります。しかし、火力発電所なら、私がこのスイッチを少しひねるだけで、2,000kw程度の電気なら直ぐに無料で出せます。そんなムダなことをだれがしますか?」ということです。「ごもっとも」しか言いようがありません。

  • ()鳥類の被害は? 52:40~

青山高原ではヨタカなどの夜行性鳥類は3km以内では見られなくなり、クマタカ、ノスリなど知事が特に守るべきとした猛禽類も見られなくなりました。750kwで約1kmの範囲で生息数は半減しましたが、2,000kwでは10%以下に激減しました。世界中でも鳥類やコウモリの激減や大量死の論文が多数出されています。

  • (10)環境アセスメントの誤解 55:44~

日本以外では、環境アセスメント(環境影響評価)は第3者機関が行い。業者はその結果に従わなくてはならず、強制力を持っています。日本でもそのような制度か?と誤解されている方が多いようです。しかし、日本では事業者が自主的に行うものとされ、強制力はありません。これは法律の制定時に自民党と経産省が強く反対し骨抜きにしたからでした。審査会が出来るのは助言のみで、何の強制力もなく、事業者が助言を無視しても罰則はありません。ですから審査会は「概ね妥当」以外の結論を出す例はほぼ皆無です。

 

その審査会(委員会)も、専門家の集まりとは言い難いメンバーも多く、弁護士、検事、PTA連合会代表などもいます。中には「風車を逆回転させれば、打ち消し合って騒音と低周波音は消えるのではないか(松阪飯南WF)」「風車を緑色に塗れば景観が良くなる(青山高原WF)」「伊賀市民で風力発電に反対する人などだれもいない、鹿が増えて喜んでいる(青山高原WFで猟友会会長の談)」など小学生レベルか?と言われるような意見も出されています。そして、いくら反対意見が多くても、折りをみて座長が「そろそろ意見も出尽くしたようですので」と言って、座長(たいていは高齢の元教授)の権限で「概ね妥当」との答申を出すのが通例です。事業の是非を決められるような制度ではないのです。

 

念のため、風車を逆回転させても、騒音も低周波音も相殺されません。そもそも、風車を逆回転させるには、風に逆らうことになるので非常に強力なモーターが必要で、そんなことをすれば普通壊れます。北京オリンピックで至る所を緑色に塗ったので、返って目立って辟易されたのはまだ記憶に新しいところです。猟友会会長様は鹿や猪が増えて、今後も増えるのが率直に嬉しいようです。

 

 シーテックは、環境影響方法書、準備書、評価書を数ヶ月間隔で次々に提出した実績が何度もあります。方法書段階ですべて終えていたのです。各段階で「追加調査が必要」と指摘されても、数ヶ月ではできるはずもなく、「事後調査で行う」「何かあれば適切に対処する」「だから追加調査は必要ない」との常套句で無視し続けました。

 

(12) 事業者の実情 「別に発電しなくてもいいんです」発言!12:56~

 

私とシーテック電力事業部長らとの会談(2007/4/25)

武田:風力発電は発電が不安定ですね。

シーテック:その通りです。実は中部電力からは「これ以上接続するな」と言われています

武田:風力発電は採算が合いませんね。

シーテック:その通りです。しかし、補助金をいただけますので‥ 

 

(県職員に対してのシーテック電力事業部長の発言)

発電しなくてもいいんです。建設さえすればいいんです。」

(当時は建設費の半額が補助金(税金、特別会計)で賄われる制度があった)

 

(13) 再エネ投機の実態 16:10~

 

風力発電所やメガソーラーを持ち続けるよりも、転売する方が儲かる状態になっています。持ち続けると維持管理がたいへんだからということです。そのため、事業者の新設と倒産が非常に多く、バブル経済の時の、土地ころがし、ゴルフ場会員権商法に似た状態になっています。既にバブルははじけているとの分析もあります。

 

(14) 欧米での風力発電の状況は? 22:15~

 

  風力発電は発電量の変動を補わないと大停電を起こしてしまうのですが、それには火力発電所の出力の急上昇、急停止を頻繁にしなくてはならず、風が急に止んだ時用に火力発電所は蒸気を捨てながら待機し続けなくてはならないこともあり、返って化石燃料消費量が増えることが明らかになりました。風力発電が激増したドイツ、太陽光発電が激増したスペインでも主力電源は依然として石炭火力です。そこで、各国とも風力発電、太陽光発電の補助金削減、固定買取価格値下げ、制度の廃止が行われ、「ブームは去った」と言われ、ベスタスなど有名企業が倒産、経営難になり、風力発電機、太陽光発電の資材が余っています。その余った資材を安く買いたたき、日本に売ろうと商社の動きが活発です。

 

(16) 経済波及効果ってあるの? 26:10~

 

 秋田県などでは「80基造るのに、建設時に2万人雇用、運転保守に年間50億円、530人雇用、地元に事務所や関連工場が林立し、経済波及効果は2,100億円」などと言っていますが、91基の青山高原で明らかなように、建設作業員は数十人で運転保守要員は数人、新規雇用は特になし、関連工場の林立もありませんでした。

 

(18) 風力発電機配置の原則無視 32:10~

 

 風車は主な風向には回転直径の812倍、横には24倍離さないと、乱気流で発電効率が落ち、事故の原因になるとされていますが、ほとんど無視されています。ウインドパーク笠取のものも本当は主風向には約1km離さなくてはなりませんが、150m程度のものが多くあります。

 

(19) 結局、風力発電って? 38:15~

 

原発の代わりにはならず、むしろ増やしています

地球温暖化をむしろ進めると言わざるを得ません。

20年経っても「もっと補助金を」「更に優遇を」と際限のないケアを国に要求し、自立できていません。

健康被害は深刻過ぎるのに、業界は無視し続けています。

・住民は理不尽な我慢を強いられる理由はないと思います。

・地域が発展した実例は未だに見つかりません。

・最終的に成功例と言える実例を未だに確認できません。

私は出資や会社設立をしなくて本当に良かったと思います。

 

 

 

 

 

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